フリーのマイクロアレイ解析ソフトを使って選択的スプライシングを解析してみよう!その2

フリーのマイクロアレイ解析ソフトを使って選択的スプライシングを解析してみよう!その2

前回の記事では弊社の提供するフリーのソフトを使って、選択的スプライシングを解析する方法について紹介しました。

今回は前回に引き続いて、解析ソフトTACを使って選択的スプライシング解析をする方法について詳しく見ていくことにしましょう。

解析結果をみてみよう

前回の記事では、解析が完了すると下記のような解析画面が出るところまで解説いたしました。

上図の画面は上下にそれぞれ別のウィンドウが表示されています。この表示形式を変更したい場合は、画面右上にあるボタンを押します。

まずは解析遺伝子の一覧を見てみることにします。左側のウィンドウの「Table」タブをクリックしてください。下図は分かりやすいように1画面表示にしてあります。

各列のうち、代表的なものの説明は以下のとおりです。(数字は上図と対応しています)

  1. Transcript Cluster ID:遺伝子ごとに割り振られたID
  2. Gene Fold Change:遺伝子の発現変動の大きさ(今回はLiver vs. Muscle)
  3. PSR/Junction ID:1つの転写産物はさらに細かい部分に分割されており、それぞれをPSR (Probe Selection Region) と呼ぶ。PSRとエクソンジャンクション部にはそれぞれ固有のIDが割り振られる。
  4. Splicing Index:この値の絶対値が大きいほど選択的スプライシングが起こっていると見なされる。
  5. Splicing Event Estimate:選択的スプライシングの5つのモデルのうち、どれにもっとも当てはまるかの予測。
  6. Splicing Event Score:予測された選択的スプライシングモデルがどの程度確からしいかの指標。もっとも予測が確かなものは1,確かでないものは0になる。

次に、表示条件をいくつか変更してみます。

PSR/Junction IDではPSR (Probe Selection Region) とJUC (Junction) の2種類が表示されています。この中からPSR IDだけ表示させてみましょう。

PSR/Junction IDと書かれた場所で右クリックをし、「Filter」を選択します。

下図のように表示されますので、「PSR」と入力して、OKボタンを押します。

下図のように、PSR IDのみ選択されました。

つづいて、Splicing Indexが小さい順に並び替えてみましょう。Splicing Indexで右クリックをし、「Sort by Ascending」を選択します。

ソートの結果、下図のように表示されます。

上図のように、各TC (Transcriptome Cluster) の中でSplicing Indexが小さい順に並び替えがおこなわれています。なおSplicing Indexは以下の様に解釈できます。

  • Splicing Indexの値が小さい:Liverにおいて、この部分のExonの発現量が低い
  • Splicing Indexの値が大きい:Liverにおいて、この部分のExonの発現量が高い

次に、このサンプルデータの中で選択的スプライシングがおこっている例として、Annexin A7をみてみることにしましょう。

下図にある検索ボックスに、「ANXA7」と入力してみてください。

検索文字を入力すると表の中から該当する部分が選択され、上図のように表示されます。

Annexin A7のSplicing Indexに着目してみましょう。下図のように、一番上のPSRのSplicing Indexが飛び抜けて小さい値を示していることが分かります。

これは、Liverにおいてこのエクソン領域の発現が極めて低いことを意味しています。

次にこの結果をSplicing Viewer(ビューワー)で確認してみましょう。ソフト右上のボタンを押して2画面表示にすると、下図のようになります。

左側のウィンドウと右側のビューワーは連動しています。このことを示すために、PSR IDをひとつ選択してみましょう。対応する遺伝子上の位置がビューワーでハイライトされます。

上図では、Annexin A7でSplicing Indexがもっとも小さい(=Liverでの発現が小さい)PSRを選択しています。

この状態で、ビューワーの見方について更に詳しくみてみましょう。

ビューワー上部にあるStructure Viewでは、エクソンごとの発現変動が色分けされています。この場合、緑はMuscleで発現が多く、赤はLiverで発現が多いことを意味しています。

次に、LiverとMuscleそれぞれの発現量をみてみましょう。下図にあるボタンをクリックしてみてください。

下図のように、LiverとMuscleサンプルの各エクソンの発現量が表示されました。青は発現量が多く、黄色は発現量が小さいことを意味しています。

上図では選択されているエクソン領域において、Liverでは黄色(=発現量が小さい)、Muscleでは青色(=発現量が大きい)に表示されています。その結果、両者の発現量の比較を表している一番下のStructureにおいて、選択されている部分が緑色に表示されています。

次に、この遺伝子全体としての発現量はどの程度変動しているのかを確認しておきましょう。遺伝子変動は下図の場所に表示されています。

上図にあるように、LiverとMuscleでの遺伝子レベルの発現量の差は1.3倍程度しかなく、両サンプルにおけるAnnexin A7の遺伝子発現はほぼ同じであるといえます。にもかかわらず今回発見されたエクソンはLiverでの発現が極めて小さく(Muscleの48分の1程度)、選択的スプライシングが生じている興味深い例といえるでしょう。

次に、ビューワー下部にあるGenomic Viewに着目してみましょう。

ここには各種データベースより収集した転写産物アイソフォームが列挙されています。各スプライスバリアントのうち、Liverで発現している可能性の高いアイソフォームは上部に、Muscleの可能性が高いものは下部になるように並んでいます。

各スプライスバリアントのID上で右クリックをすると、データベースへのリンクが表示されます。

このようにして、どのようなスプライスバリアントが各サンプルで発現しているかの予想を立てることができます。

まとめ

今回はマイクロアレイの解析用ソフトウェアTACを用いて、選択的スプライシングの解析方法について簡単にご紹介しました。

TACではシンプルな発現解析だけでなく、選択的スプライシングのような高度な解析も極めて簡単におこなうことができます。選択的スプライシングによるバイオマーカー探索などをご検討の方は、是非ともTACによる解析を体験してみてください。

この記事に関する、ご意見・ご質問がございましたら、下記フォームからご連絡ください。

お名前 (必須)

メールアドレス (必須)

勤務先・所属先

題名

メッセージ本文

 確認ページはございません。内容をご確認の上チェックを入れてください

トレーニング