サクッと解説!免疫染色における抗体断片化と抗体選択法

サクッと解説!免疫染色における抗体断片化と抗体選択法

はじめに

免疫組織化学などの免疫染色では、使用する一次抗体や二次抗体によりバックグラウンドノイズの上昇やシグナルノイズ比の低下がみられることがあります。使用する抗体のクラスやサブクラスや特異性は抗体の選択において重要な因子であり、また抗体の断片化は免疫染色で一般的に使用されるテクニックのひとつです。今回は、免疫染色における抗体の断片化や抗体の選び方についてご紹介します

抗体クラス、抗体サブクラス、抗体フラグメント

特定のアプリケーションでは、酵素などで断片化した抗体(抗体フラグメント)を一次抗体として使用することで結果が改善されることがあります

たとえば、細胞や組織の免疫染色ではIgG Whole Moleculeの代わりにFabフラグメントを一次抗体に用いることでシグナルノイズ比が向上することがあります。これは、Fabフラグメント(50 kDa)がIgG全分子(150 kDa)と比較して低分子であり、組織への浸透に優れること、細胞(マクロファージ・B細胞・T細胞・好中球・肥満細胞)や組織に存在するFcレセプターとの反応を抑制できることが理由としてあげられます。

二重染色で使用する一次抗体が同種(同一宿主動物由来)で、さらに抗体サブクラスも同じ場合、重複標識を避けるために一価のFabフラグメントを一次抗体として使用することもあります。一次抗体の宿主動物が同じでも、クラスやサブクラスが異なる場合、クラス特異的またはサブクラス特異的な二次抗体を用意することができれば、二重染色が可能になることがあります。

抗体フラグメント化における酵素

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図1 FabフラグメントやF(ab’)2フラグメントの調製

ペプシンによる切断部位 (ヒトIgGではLeu234)は様々な抗体種で保存されていますが、マウスIgG1では保存されていません。マウスIgG1にはペプシンに対する耐性があり、またペプシンによる消化で要求される酸性pHは抗体活性に影響を与えることがあります。このような場合にはフィシンが利用できます。フィシンはシステイン濃度依存的にマウスIgG1からFabまたはF(ab’)2を調製できます。

抗体の特異性

市販されている二次抗体のほとんどは、特定の抗体種、抗体サブクラス、抗体フラグメントで免疫した動物の血清から精製されたポリクローナル抗体です。したがって、得られる反応特異性は免疫に用いた抗原(一次抗体)や精製法に依存します

たとえば、マウスIgG (全サブクラス)で免疫したヤギ血清からは、免疫に使用したマウスIgGの全サブクラスのさまざまな部位に対して結合する、ヤギ抗マウス抗体が得られます。得られたヤギ抗マウス抗体は、マウスIgG以外の抗体クラスとも交叉反応することがあり、さらにマウス以外の抗体種(ヒト、ラット、ウサギ)との交叉反応が生じることもあります。

市販の二次抗体では、これらの交叉反応を抗原アフィニティ精製や高度吸着処理(抗原以外の抗体種、抗体サブクラス、または他種の血清タンパク質を固定したアフィニティカラムを通過させる精製法)により最小限に抑えています。

弊社ではヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、ラットなどの代表的な抗体種に関して、二次抗体をご用意しており、高度吸着処理した抗フラグメント、抗サブクラス、抗サブタイプ二次抗体の非標識、ビオチン標識、蛍光標識品もご選択いただけます。

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