レアな変異を短時間で検出!変異解析におけるデジタルPCRのメリットとは?

レアな変異を短時間で検出!変異解析におけるデジタルPCRのメリットとは?

レアな変異の検出はがん研究の強力なツール

がんの研究において、多くを占める野生型細胞集団の中からレアな変異の検出を行うことは大変困難です。がん遺伝子やがん抑制遺伝子の変異の蓄積は、腫瘍形成の重要な要因であり、ごく一部の体細胞におけるこうした変異の発生が、がんの発生や進行の原因となり得ます。

キャピラリ電気泳動リアルタイムPCRといった一般的なSNPジェノタイピングの技術は、20%の頻度を超える (およそ5つの細胞に1つの変異) 変異細胞の検出には有効です。しかし、通常変異はごく少数の細胞に発生するので、その変異を検出するためには、高いシグナル・ノイズ比を有し、偽陽性率の低いアッセイが必要となります。これを備えているのがデジタルPCRです。サンプルを何千もの個別のPCR反応に分割することで、反応ごとの分子の総数は大幅に減少し、対象配列が効果的に濃縮され、野生型のバックグランド分子が希釈され排除されます

また、不均一に混ざり合ったサンプルの中から、ごくわずかな量の核酸の検出 (アレルの検出など) にも、デジタルPCRが役立ちます。たとえば、デジタルPCRを用いて、腫瘍サンプルのわずかな細胞が変異を有しているか否かを確認できます。

TaqMan™ ケミストリとQuantStudio™ 3D デジタルPCR システムを組み合わせて使うことで、低頻度の変異を検出できるようになりました。TaqMan® SNP Genotypingアッセイとともに、QuantStudio 3D rare mutation analysis solutionは、非常に頻度の低い変異の検出とその絶対定量に必要な高い性能を実現しています

レアな変異を短時間で検出! QuantStudio 3D デジタルPCRシステム

QuantStudio 3D デジタルPCRシステムは、がん研究などの低濃度領域のサンプルからのレアな変異の検出、定量を可能にしたシンプルかつお手頃なデジタルPCRシステムです。QuantStudio 3D デジタルPCRシステムは、高密度のナノ流体工学に基づくチップテクノロジーを採用し、各々独立した20,000個もの反応ウェルにサンプルを分配します。固体シリコン基板に刻み込まれた均一なサイズの微細ウェルを有する専用チップによって、直接的かつ安定したサンプル分配が可能となり、1回のランで数千ものデータポイントを解析できます。高度に制御されたサンプルのローディングのシステムと微細ウェルを持つチップは均一な量で反応を行い、より高精度な絶対定量を可能としています。

QuantStudio 3D デジタルPCRシステムのRare mutation analysis solutionのメリット:

  • デジタルPCRの性能を最適化
  • がん研究で最もよく利用される体細胞変異をターゲットとしたデジタルPCRでバリデーションを行ったTaqMan SNP Genotypingアッセイを提供
  • 0.1%程度のレアな変異の検出・定量を実現
  • シングルチューブのフォーマットは野生型および変異遺伝子に対応
  • 高度なアルゴリズムにより、レアな変異の定量を効率化

バリデーション済みのTaqMan SNP Genotypingアッセイでより高い精度を実現

TaqManアッセイのシニアプロダクトマネジャー Dr. Iain Russell が、2014年アメリカ人類遺伝学会 (ASHG) 年次総会でのインタビューで、QuantStudio 3D デジタルPCRシステムにおけるレアな変異を解析するメリットについて語りました。具体的には、QuantStudio 3D Rare mutation analysis solutionのワークフローと、良く知られている体細胞変異 (EGFR、BRAF、KRAS、PIK3CA、JAK2) をターゲットとした、バリデーション済みのTaqMan SNP Genotypingアッセイについて話をしました。これらのアッセイは、QuantStudio 3D デジタルPCRシステムでバリデーションされており、0.1%までのレアな変異を定量できます

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図1 KRAS G12V変異をデジタルPCRのために最適化されたTaqMan® SNP Genotyping アッセイを用い、QuantStudio® 3D デジタルPCRシステムで検出しました。サンプルは野生型のゲノムDNAにわずかな量の変異型プラスミドを混合したサンプルです。ターゲット0.1%は野生型ゲノムDNAに0.1%の変異が含まれることを意味します。全てのサンプルはQuantStudio® 3D デジタルPCRシステムのAnalysisSuite™ Cloud Softwareの「Relative Quantification」モジュールで解析を行いました。A) ターゲット10%の解析結果。 検出結果は10.384%。信頼区間は8.235% – 13.076%。 B) ターゲット1%の解析結果。検出結果は1.393%。信頼区間は0.772% – 2.507%。C) ターゲット0.1%の解析結果。 検出結果は0.142%。信頼区間は0.064% – 0.310%。D) 野生型コントロールサンプルの解析結果。

バリデーション済みのSNPジェノタイピングアッセイは、その発生の頻度やIon AmpliSeq™ Cancer Hotspot Panelに載っているターゲットをもとに選択されました。アッセイはシングルチューブで、野生型および変異アレルの両方に対応するプライマーとプローブが含まれ、12および450反応サイズで提供しています。

自信をもって絶対定量を行うために

QuantStudio™ 3D AnalysisSuite™ Cloud ソフトウェアによって、QuantStudio 3D デジタル PCR システムで収集したデータから、サンプルにおける変異の割合を定量できます。

レアな遺伝子を検出するアプリケーションにおいて、AnalysisSuite™ ソフトウェアは、個々のPCR反応の結果を4つの象限に分類します。左上の象限(青色の点)はほぼ例外なくアレルA、右下(赤色の点)はほぼ例外なくアレルBです。緑の点は、アレルAとB両方を含むウェルを示し、黄色の点は増幅がなかったウェルを示します。

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* これらの%は、AnalysisSuite™ ソフトウェアからのデータを使用しExcelで算出。

上のデータは、共同研究者であるDr. Antonio Jimenez-Velasco (スペイン、マラガ、カルロスハヤ病院) から、骨髄移植後の白血病患者のサンプルの提供を受け、QuantStudio 3D デジタル PCR システムでキメリズムのモニタリングを行った例です。区別が容易なレシピエント特異的な遺伝子を検出するアッセイと内部標準の2種類のアッセイを用いて定量を行いました。血液サンプルは、ドナーおよびレシピエントから移植前、および移植後に数回採取されました。

グラフは、レシピエントのモニタリング結果を示しています。骨髄移植前 (Pre-SCT)、循環細胞の遺伝子型は、100%ホストの遺伝子型でした。ドナーはレシピエントのアレルを約0.1%有していました。62日、147日、174日と時間が経つと、レシピエント由来の遺伝子型の割合が低くなっているのがわかります。しかし、192日後からは上昇を始め、レシピエント由来の細胞が骨髄を再構築していることがわかります。 エラーバーは、算出された95%信頼区間を表しています。

上述の共同研究者は、従来のPCR技術では192日より前の段階でこのキメリズムを検出することができませんでした。優れた感度をもつデジタルPCRは、従来のPCR技術より早い段階でキメリズム (元の患者由来の遺伝子の再発)を検出することができました

Note:レシピエントとドナー両方の細胞サンプルが骨髄に存在するとき、白血病のサンプルにおいて混合キメラが生じます。幹細胞移植後は、キメリズム解析が定期的に行われます。

まとめ

デジタルPCRによるレアな変異の検出・定量が皆様の研究のお役に立ち、今回ご紹介したリンクがデジタル PCRのさらなる理解につながることを願っています。まとめになりますが、QuantStudio 3D デジタルPCRシステムのRare mutation analysis solutionは、以下の特長があります。

  • デジタルPCRの性能を最適化
  • がん研究で最もよく利用される体細胞変異をターゲットとしたデジタルPCRでバリデーションを行ったTaqMan SNP Genotypingアッセイを提供
  • 0.1%程度のレアな変異の検出・定量を実現
  • シングルチューブのフォーマットは野生型および変異遺伝子に対応
  • 高度なアルゴリズムにより、レアな変異の定量を効率化

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