ELISAにおけるサンプル成分の影響を評価するSpike & Recoveryテストとは?

ELISAにおけるサンプル成分の影響を評価するSpike & Recoveryテストとは?

はじめに

弊社では各種サイトカイン用のELISAキットをご用意しています。通常、血清、血漿、腹水といった生体サンプルや培養上清が測定サンプルですが、特に血清や血漿中にはアッセイに影響する成分が含まれていることがあります。この場合はサンプルをそのままアッセイに使用すると、目的サイトカインの濃度を正しく測定できません。今回は、サンプル成分のアッセイへの影響を評価して適当な測定結果が得られる条件を設定する方法についてご紹介します。

ELISAで妥当な測定結果が得られない原因とは?

ELISAを行ったところ、検量線は問題なく作成できているのにサンプルについては妥当な測定結果が得られない場合、原因の一つとしてサンプル中の成分による阻害(matrix effect)が起きている可能性が考えられます。以下で紹介するSpike & Recoveryテストはサンプル成分の影響を評価する方法として有効です。

Spike & Recoveryテストの方法

Spike & Recoveryテストは、濃度既知のアナライトを添加(Spike)したサンプルおよび同じ濃度のアナライトを添加(Spike)した検量線作成用の希釈液を比較して、添加アナライトの測定濃度誤差(% Recovery:回収率)を評価する方法です。

ELISAキットに添付されている希釈液(Standard Diluent)を用いてスタンダードの希釈系列液を作成します。またキットに添付のスタンダードを濃度既知のアナライトとして使用し、サンプルに添加(Spike)した溶液を作成します。Spikeする量は、終濃度が、使用するELISAキットの推奨測定範囲内の濃度になるようにします(通常、推奨測定範囲の中間の値を採用します)。スタンダードの系列希釈液、希釈液のみ、アナライトをSpikeしたサンプル、サンプルのみのそれぞれについてキットのプロトコルにしたがってELISAを行い、次の式から% Recovery(回収率)を計算します(図 「血清サンプルの% Recovery評価例」 参照)。
$$\frac{[SpikeしたサンプルのOD]-[サンプルのみのOD]}{[Spikeした希釈液のOD]-[希釈液のみのOD(バックグラウンド)]}\times 100=% Recovery$$
% Recoveryが90-110%の範囲内であれば基本的に問題ありません。% Recoveryが90-110%の範囲外の場合は、サンプル成分が測定に影響している可能性があります

elisa-spike-recovery-test-fig1

図 血清サンプルの% Recovery評価例。

上図では、希釈液で2倍希釈した血清サンプルに対して、終濃度が240 pg/mLになるようにスタンダードをSpikeしました。スタンダードの系列希釈液(15, 38, 96, 240, 600 pg/mL)、希釈液のみ、アナライト(スタンダード)をSpikeしたサンプル、サンプルのみのそれぞれについてELISAを行い、濃度に対する吸光度をプロットしました。左の図は検量線です。「Spikeした希釈液のOD」すなわち240 pg/mLでのスタンダードの吸光度は0.78、希釈液のみ(バックグラウンド)の吸光度は0.04でした。また、スタンダードをSpikeした血清サンプルの吸光度は1.19、サンプルのみの吸光度は0.41でした。この例の場合、図中の式により% Recoveryは105%となります。

サンプル希釈による改善検討

通常、血清や血漿サンプルにはアッセイに影響する成分が含まれています。一般的には、この影響は希釈によって抑えることができます。ELISAキットの取扱説明書には、血清や血漿サンプルを用いる場合の推奨希釈率が記載されていますが、その希釈率でもサンプル成分による阻害が抑えられない場合があります。そこで、適当な希釈率を検討するため、希釈液(Sample Diluent)でサンプルの希釈系列(2倍希釈、4倍希釈、8倍希釈・・・)を作成します。続いてそれぞれの希釈サンプルを用いて、上記のSpike & Recoveryテストを行い、% Recoveryが90-110%の範囲内になる希釈率を採用します

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