初心者必見!蛍光プローブの基礎|知っておきたい!タンパク質実験あれこれ 第15回

初心者必見!蛍光プローブの基礎|知っておきたい!タンパク質実験あれこれ 第15回

はじめに

蛍光プローブは、感度やダイナミックレンジの広さ、定量性、種類の多様性、複数種類を同時に使用できる利便性から、バイオ研究においてさまざまな形で利用されています。その利用範囲は、タンパク質の同定や複合体(相互作用)の検出、特定のタンパク質の局在や活性検出、生体分子挙動のモニタリング、分子選択・分離など多彩です。近年ではこの多彩な解析を、特定のタンパク質や単一の細胞にとどまらず、複数の細胞の一つ一つについて自動的にデータ取得し統計学的に客観的な解析を行うことのできるハイコンテントアナリシスも盛んに行われています。今回は、このような蛍光プローブの基本的な特性についてその概要を説明します。

蛍光現象のメカニズム

蛍光分子は、ある波長の光(励起光)が照射されると、光を出します。そのメカニズムは、図1に示すように、まず蛍光分子の吸収波長に一致した波長の励起光が蛍光分子内の電子により吸収され、電子のエネルギーレベルが励起状態に遷移します。この間、分子衝突や近接する分子への転移などによって一部のエネルギーは消失しますが、残ったエネルギーは、基底状態に戻る際に光エネルギーとして放出します。このとき観測される光が蛍光です。

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図1 Jablonskiエネルギーダイアグラム

蛍光スペクトル

蛍光プローブの励起波長と蛍光波長は蛍光プローブごとにそれぞれ特有であり、多原子分子の蛍光プローブの場合、励起スペクトルの波長と蛍光スペクトルの波長はいずれもブロードになります(図2 左)。特に、励起エネルギー強度の最も高い波長を最大励起波長、蛍光強度の最も高い波長を最大蛍光波長と呼びます。基本的に蛍光エネルギーは励起エネルギーに依存するため、蛍光強度は励起波長によって異なり、図2の右に示すように、励起エネルギーの低い波長(Ex1)で励起された場合、より高い波長(Ex2)で励起された場合に比べて、蛍光強度(Em)は弱くなります(Em1<Em2)。

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図2 蛍光プローブの励起/蛍光スペクトル

ストークスシフト

蛍光により放出されるエネルギーは吸収エネルギーよりも低く、蛍光波長は励起光の波長より長波長側に移ります(ストークスの法則)。この励起波長と蛍光波長の差はストークスシフト(Stokes Shift)と呼ばれ、その大きさは蛍光プローブの種類により異なります。ストークスシフトはバイオ実験において重要で、例えばストークスシフトが非常に小さい蛍光プローブを用いた場合、励起スペクトルと蛍光スペクトルの重なりが大きく両者の波長が近い(図3 右)ために、蛍光検出の際、励起光との区別がつきにくく、結果として蛍光検出時のバックグラウンドが大きくなってしまいます。

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図3 蛍光プローブのストークスシフト

蛍光プローブの明るさ

蛍光プローブ1分子あたりの蛍光強度は、モル吸光係数と量子収率に比例します。モル吸光係数(ε)は、蛍光プローブが特定波長において吸収する光量で、単位光路長(cm)における単位モル濃度(M)で規格化される値(cm-1M-1)です。また量子収率(Φ)は、蛍光によって放出された光子の数を励起によって吸収された光子の数で割った値として計算され、最大効率が1となります。

蛍光プローブの種類

蛍光プローブは、バイオ実験において100年以上前から使用されており、この間にさまざまな種類の蛍光プローブが発見、開発されてきました。蛍光プローブには主に、有機化合物タイプ、生体分子タイプ、量子ドットタイプの3種類があります。

有機化合物タイプの蛍光プローブはサイズが比較的小さく、生体分子への標識が容易で、生体分子の機能を損なわずに利用することが出来ます。有機化合物タイプとしては、例えばフルオレセイン(フルオレセインイソチオシアネート、FITC)やローダミン(イソチオシアン酸テトラメチルローダミン、TRITC)が従来から利用されてきましたが、蛍光多重染色やハイスループット検出が行われるようになり、より鮮明で光安定性のある新しい有機化合物タイプの蛍光プローブが開発されています。弊社では蛍光強度が高く安定なDyLight蛍光プローブをご提供しています。DyLightシリーズには励起/蛍光スペクトルの異なるさまざまな蛍光プローブをラインアップ(図4参照)しており、DyLight標識用試薬DyLight標識済みの二次抗体などもラインアップしています。

生体分子タイプの蛍光プローブとしては、クラゲに由来する緑色蛍光タンパク質(GFP)や蛍に由来するルシフェラーゼがよく利用されています。これらの蛍光タンパク質は、個別に、または別のタンパク質と融合させた形で生体内において発現させることが出来るため、生体内でのレポーター分子として利用されています。

量子ドットタイプの蛍光プローブは1980年代に開発されました。量子ドットは細胞毒性を有する点が指摘されていますが、蛍光強度が高く、光安定性が高いことからさまざまなアプリケーションで利用されています。

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図4 DyLight蛍光プローブのスペクトル特性

いかがでしょうか?

次回は、蛍光標識試薬の紹介や蛍光検出に影響するファクターについて説明します。

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