異なるPCR産物を識別できるリアルタイムPCRの解離曲線解析とは?

異なるPCR産物を識別できるリアルタイムPCRの解離曲線解析とは?

解離曲線解析は、プライマーダイマー副産物等が存在するかどうかPCR産物を調べ、反応特異性を確認するための、簡便で明瞭な方法です。核酸のTmは、種々の要因のうち、鎖の長さ、GC含量および塩基のミスマッチにより影響されるため、多くの場合融解特性により、異なるPCR産物を識別することが可能です。今回は、リアルタイムPCRを利用した解離曲線解析の概要と解析方法についてご紹介します。

解離曲線解析および検出システム

解離曲線解析は、蛍光物質がアンプリコンに結合した状態を保つリアルタイムPCR検出系でのみ行うことができます。Applied Biosystems™ SYBR™ Green I色素またはApplied Biosystems™ SYBR™ GreenER™ 色素を使用した増幅した反応系では温度解離曲線解析を行うことができます。TaqMan プローブのように2 重標識されたプローブは、PCR中に蛍光物質を反応溶液中に放出することにより、シグナルに非可逆的な変化を生じるため、解離曲線解析を行うことはできません。しかし、これらの方法は特異性の高いので解離曲線解析ができないことは大きな問題とはなりません。

SYBR Green I 色素およびSYBR GreenER色素の蛍光レベルはいずれも二本鎖DNAに結合すると著しく上昇します。二本鎖DNAの解離をこの蛍光レベルでモニターすると、DNAが一本鎖になり色素がDNAから遊離すると同時に蛍光の低下が検出されます。

解離曲線解析の重要性

リアルタイムPCRの特異性は使用するプライマーおよび反応条件によって決まります。非常に良好にデザインされたプライマーでもプライマーダイマーを形成したり非特異的産物を増幅する可能性が常に存在します(図1)。また、リアルタイムPCRを行う際には、RNA試料がゲノムDNAを含み、そのDNAが増幅される可能性も存在します。リアルタイムPCRの特異性は融解曲線解析を用いて確認することが可能です。融解曲線解析を行うことができない場合には、反応間のCt値の差が妥当なものであり、非特異的産物の存在に起因するものではないことを確認するための追加検証が必要です。

qpcr-basic39-fig1

図1 解離曲線解析により、解離曲線において増幅産物のピークの左側に見られる追加ピークとして示される、プライマーダイマーなどの非特異的産物の存在を検出することが可能です。

解離曲線解析とプライマーダイマー

プライマーダイマーは2本のPCRプライマー(同一プライマー同士及び異なるプライマー同士のいずれも)が、ターゲットの代わりにお互いに結合しあうことにより形成されます。プライマーダイマーのTm 値はアンプリコンのTm 値よりも低いため、解離曲線解析によりプライマーダイマーの存在を確認できます。テンプレートを含むサンプル中におけるプライマーダイマーの存在は、PCR効率を低下させ解析が不明瞭となるため、好ましくありません。プライマーダイマーは、プライマーが十分に存在しテンプレートが存在しない状態であるテンプレートなしの条件(NTC)で最も頻繁に形成されます。NTCにおけるプライマーダイマーの存在は、テンプレートを含む反応中にもプライマーダイマーが存在するということを意味します。NTCにプライマーダイマーが認められた場合には、プライマーのデザインを見直すことが必要です。NTCの融解曲線解析により、プライマーダイマーと試薬組成に含まれるコンタミしている核酸による疑似増幅を識別することが可能です。

解離曲線解析の方法

解離曲線解析を行うために、サーマルサイクリングプロトコルの直後に融解プロファイルを組むようにリアルタイムPCR装置をプログラムすることが可能です。増幅が完了した後に、増幅産物を加熱して完全な解離曲線データを回収します(図2)。現在ほとんどのリアルタイムPCR装置において、解析パッケージにこの機能が組み込まれています。

qpcr-basic39-fig2

図2 Applied Biosystems 装置上での解離曲線サーマルプロファイル設定の例を示しています(DNA変性のために94°Cまで急速に加熱し、続いて60°Cまで冷却しました)。

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