PCRの増幅効率を調べてみよう!|今こそ本気で徹底理解! リアルタイムPCR講座 第7回

PCRの増幅効率を調べてみよう!|今こそ本気で徹底理解! リアルタイムPCR講座 第7回


自分がつかっているPCR系の増幅効率を把握しておくことは、実験を進める上でとても大切です。今回は、リアルタイムPCRの増幅効率を数値で求めることに挑戦します。

TS白神
計算に入る前に、リアルタイムPCRの原理(第5回)で学んだことを思い出してください。増幅効率を求めるときも、 “PCRの1サイクルで鋳型DNAが2倍に増える”という理論がベースになります。

なるほど。さっそく、始めましょう。

 

初期鋳型DNAの量を[DNA]0、増幅効率をe、サイクル数をCとします。

PCRで増幅されるPCR産物の量[DNA]は、
$$\left[ DNA \right] ={ \left[ DNA \right] }_{ 0 }{ \left( 1+e \right) }^{ C }\cdots \cdots \left( 1 \right)$$
で表せます。

増幅効率が100%、つまり“ 増幅効率e=1 ”のとき、“ (1+e)=2 ”となります。

DNAが1サイクルでは2倍に増える、ということです。

2サイクルでは2の2乗で4倍に増え、10サイクルでは2の10乗で1,024倍に増え…と続きます。

 

では、増幅効率が85%、つまり“ 増幅効率e=0.85 ”のときは、DNAはどのように増えていくのでしょうか。増幅効率が100%と85%の場合を表1にまとめたので、サイクル毎の相対量を両者で比較してみてください。

サイクル数 相対量
(増幅効率が100%のとき)
相対量
(増幅効率が85%とすると)
10 1,024 ~500
20 1,048,576 ~200,000
30 1,073,741,824 ~100,000,000
40 〜1,099,511,628,000 ~50,000,000,000

サイクル数が増えれば増えるほど、もともとの増幅効率の差がPCR産物の量に大きく影響することが、よく分かります。

次に、(1)式の両辺の対数をとってみましょう。
$$\log { \left[ DNA \right] } =\log { { \left[ DNA \right] }_{ 0 }+\log { \left( 1+e \right) ^{ C } } }$$
$$\log { \left[ DNA \right] } =\log { { \left[ DNA \right] }_{ 0 }+C\log { \left( 1+e \right) } }$$
Threshold Cycleに達するサイクルC = Ctとすると、
$$Ct=\frac { \left( \log { { \left[ DNA \right] }_{ t } } -\log { \left[ DNA \right] } _{ 0 } \right) }{ \log { \left( 1+e \right) } } \cdots \cdots \left( 2 \right)$$
となります。Ctはlog[DNA]0の関数として表現されており(第5回の図(B))、
$$検量線の傾き=\frac { -1 }{ \log { \left( 1+e \right) } } \cdots \cdots \left( 3 \right)$$
となります。

Screenshot今こそ本気で徹底理解! リアルタイムPCR講座 第5回:リアルタイムPCRの原理
「増幅曲線の傾き」、「Threshold cycle」、「スタンダードサンプル」…これらの意味を、スラスラと説明できますか? 実はシンプルで簡単なリアルタイムPCRの原理。基礎の基礎が、2分でわかります!

ここで、検量線の傾きを求めてみます。
増幅効率が100%(e=1)のとき$$\quad 傾き=-3.32$$
増幅効率が85%(e=0.85)のとき$$傾き=\frac { -1 }{ \log { \left( 1+0.85 \right) } } =-3.74$$
検量線の傾きが大きくなるほど、PCRの増幅効率が悪くなることが分かります。
では最後に、(3)式を、既知の検量線の傾きから増幅効率を算出する式へと書き換えます。
$$増幅効率e=\left( { 10 }^{ \frac { -1 }{ 傾き } } \right) -1\cdots \cdots \left( 4 \right)$$
この(4)式が、検量線の傾きから増幅効率を換算する式です。
検量線の傾きから増幅効率を換算する早見表もあるので、ぜひ、ご活用ください。

qpcr-basic7-fig

表2 検量線の傾きから増幅効率を換算する早見表

TS白神
このようなちょっとした計算で、みなさんがお使いのプライマーの増幅効率を確認することができます。増幅効率は、検量線を引かないで定量する比較Ct法(ΔΔCt)を行うときに、特に問題となります。これに関しては、この後の講座で詳しく紹介したいと思います。

いかがでしたでしょうか?
次回は、PCRの増幅効率が悪くなる要因について考えます!

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