定量ウェスタンブロット解析における検量線作成とポイントまとめ

定量ウェスタンブロット解析における検量線作成とポイントまとめ

今回のテーマは定量ウェスタンブロット解析における検量線作成とポイントです。これをテーマに取り上げたのは、先日、あるお客様から、化学発光検出の定量性についてお問い合わせをいただき、最後に、化学発光で定量する場合の重要なポイントを試薬メーカーとしても、もっと啓蒙して欲しいとご要望をいただいたためです。長年にわたり化学発光検出試薬を販売してきた当社としても、お客様からのこのようなご要望をいただけることに大変感謝しております。

はじめに

ウェスタンブロッティングはタンパク質の定性解析に広く利用されていますが、適切なスタンダード(内部標準)を用いることでタンパク質の定量解析にも利用できます。ウェスタンブロット解析では、まずSDS-PAGEにより細胞ライセートや体液サンプルなどの複雑なタンパク質混合物から、各タンパク質が分子量で分離された後、メンブレンに転写されます。メンブレン上に転写されたタンパク質は特異抗体と抗原抗体反応によって結合し、抗体に標識された蛍光物質やHRPやAPによって蛍光検出や化学発光検出されます。このようにウェスタンブロット解析では、SDS-PAGEでの分離やメンブレンへの転写、さらに抗原抗体反応や基質との酵素反応など、検出までに様々な操作が行われるため、定量性を保つためには注意深く実験を進める必要があります。

ウェスタンブロットでの検量線の作成

必要となるのはスタンダードやポジティブコントロールです。目的タンパク質の精製品を用意します。スタンダードは系列希釈して検量線の作成に用いますポジティブコントロールは同一ゲルからの転写において転写効率に差異が生じないか確認するために用いますが、有色の分子量マーカーミックスで代用できます。スタンダードは希釈系列を調製して、サンプルと同一の前処理(還元・SDS化)を行います。コントロールに関してはゲル両端のレーンで泳動して、メンブレン全体の転写効率の均一性の確認に利用します。

イメージャーやスキャナーにより取り込んだイメージを用いて、スタンダードの既知濃度とそのタンパク質バンドのシグナル強度から、検量線を作成します。検量線に関しては、十分な線型性が得られる領域からダイナミックレンジを決定する必要があります。このダイナミックレンジ内においては、定量的な検出が可能です。

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図1 組み換え型IκBαのウェスタンブロット解析における線型領域の決定。パネル A: SDS-PAGEにより分離した組み換え型IκBαの希釈系列 (50-0.1 ng)をPVDFメンブランに転写してウェスタンブロット解析を行いました。組み換え型IκBαの検出はSuperSignal West Dura Substrateにより行いました。パネル B: ウェスタンブロット解析におけるタンパク質バンドの発光シグナル強度はデンシトメーターにより決定、組み換え型IκBαの添加量に対してプロットすることで、線型領域(r2 = 0.99)におさまる検量線を作成しました。

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図2 EGF処理したA431細胞の細胞ライセート中のIκBα定量ウェスタンブロット解析。パネル A: 既知濃度の組み換え型IκBα(rIκBα)をウェスタンブロットによる検量線の作成。L 1-6 には 0.15-0.012 ng の rIkBαが含まれます。パネル B: EGF処理したA431細胞ライセートのウェスタンブロット解析結果。L1および2; EGFにより未処理のA431細胞、L3および4; 50 ng EGFにより処理(5分)したA431細胞、L5および6; 50 ng EGFにより処理(30分)したA431細胞、L7および8; 50 ng EGFにより処理(24時間)したA431細胞。パネル C: 組み換え型IκBαによる検量線 (r2 = 0.99)。パネル D: 定量ウェスタンブロット解析により決定したEGF処理時間とIκBα発現変動。

ウェスタンブロットで検量線を作成する上でのポイント

一般的に、定量解析におけるバックグラウンドノイズはS/N比を低下させ、検量線の線型性を低下させます。線型性の低い、すなわち線型領域の狭い検量線ではダイナミックレンジも狭るため解析が難しくなり、最終的に定量精度も落ちます。このような場合、バックグラウンドノイズの原因になりうる各検出条件の検討が必要であり、ブロッキング条件や抗体濃度の最適化がバックグラウンドノイズの低下(シグナルノイズ比の向上)に有効です

蛍光検出による定量ウェスタンブロット解析

定量ウェスタンブロット解析では目的タンパク質の濃度がダイナミックレンジ内に収まる必要があるため、特に目的タンパク質の発現量が未知のサンプルの場合、サンプルに関しても数系列に希釈して用いることがあります。一般的に蛍光検出法は化学発光検出法よりも感度は低くなりますが、ダイナミックレンジが広く、定量ウェスタンブロット解析に適した検出法です。

最後に

次回は、ウェスタンブロットや免疫組織検出などにおける抗体フラグメントの選択方法を取り上げる予定です。

参考文献

Application Note #12 (AN0012.1) Method and consideration for quantitative Western blotting using SuperSignal Chemiluminescent Substrates, Mahesh Mathrubutham and Krishna vattem, October 2005

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