【お客様事例:電子化学材料研究・製造】可視化ツールとしてのトリプル検出

【お客様事例:電子化学材料研究・製造】可視化ツールとしてのトリプル検出

1.お客様:株式会社タムラ製作所 電子化学実装事業本部 先行技術開発統括部

社会のインフラをどんどん便利にしてくれる電子材料。その私たちの暮らしに欠かすことが出来ない電子材料に関する研究開発・製造・販売までを一貫して手掛ける電子部品業界のオンリーワンカンパニー 株式会社タムラ製作所 電子化学実装事業本部 先行技術開発統括部様にインタビューさせて頂きました。

自動車や電子機器など私たちにとって身近な製品だけでなく、自然エネルギーや宇宙まで、さまざまな産業も支えるお客様が、弊社分析機器の導入を決めた理由と導入後の様子についてお話をお伺いしました。

2.信頼や品質はお金で買えない。だからこそ、製品の信頼性を高めることが重要

―― お仕事の内容について簡単にお伺いさせていただければと思います。

タムラ製作所様(以下「タムラ」敬称略) :「正しく立派な製品=信頼性の高い製品」をお客様に提供するための分析業務を行っています。信頼や品質はお金で買うことはできませんので、それらを維持し、より良いものを提供するための業務になるのですが、具体的にはさまざまな分析装置を使用して、開発途中に発生する事象の解析や製品検査、お客様の解析サポートや弊社内の開発サポート対応などを行っています。業務内容は多岐にわたりますが、それらの業務において高い頻度で液体クロマトグラフィー(LC)も使用しています。

3.全体像を明らかにするための可視化ツール:LC

―― 今回御社が装置を導入する前に抱えていた課題やニーズをお伺いできますでしょうか?

タムラ: まず、我々は製品の品質をもっとも重要視しています。ですから、より良い製品を作って提供していくために、従来とは違うテクノロジーを探していました。製品を今までとは違った見方で見ることで、これまで見られなかったものが見えるようになる、そういったことを可能にする装置の導入が必要だと考えていました。

先ほど幅広い業務を行っているとお話しましたが、扱っている材料も非常に幅広い分野で多岐にわたります。我々は電気を通すための材料と、絶縁するための材料、相反する製品群の開発に加えて製造販売も行っています。そのため、製品に使う材料も無機物から有機物、そしてモノマーからポリマーまでといったように、非常に幅広いものを扱います。そのような状況において、さまざまな製品の品質管理に役立つ、汎用性の高い装置が求められていました。

―― そういったニーズがある中で、LCが重要であると考えられた理由はどういったものだったのでしょうか?

タムラ: 多くの物質や化合物、また製品材料を分析機器によって可視化することが必要でした。なぜ可視化する必要があるのかというと、取り扱う物質を定性・定量化する事で、何か変化があった時に気付くことが可能になるからです。そのため、正しい判断を行える網羅性の高い装置として、今回導入したHPLCシステムが貢献してくれるのではないかと思いました。

―― 一つの製品に対して、全体像を明らかにするというところがとても重要で、それにLCが役立つと考えられたのですね。

タムラ: はい。赤外分光(IR)など、使用する装置によっては、混合物を構成する成分比を見極めることができませんでした。一方、LCであれば、成分をそれぞれ分離して確認することができます。つまり、一つの材料であってもそれが複合物であった場合、それぞれを単独成分として分離、正確に可視化することができるので、製品品質に役立てることができると考えました。クロマトグラフィーであればガスクロマトグラフィー(GC)も選択肢としてあるのですが、熱の影響を考慮する必要があります。つまり検出された成分がインジェクション時の熱で生成する可能性を検討しなければならず、そのあたりの判断に困ることがありました。例えば、検出されたある成分が対象物中に元からあったのか、それとも気化するときに新しく発生した生成物なのかという判断がGCでは必要ですが、LCは熱の影響を考慮する必要がないので非常に役立つという背景がありました。

―― 熱分解の影響を考えた場合に、LCにメリットがあるケースがあったということですね。

4.気に入ったのはLCシステムの総合力とそのユニークさ:荷電化粒子検出器と質量分析計

―― では弊社の装置を知ったきっかけと、印象を教えてください。

タムラ: 御社の別の装置を使っていたところ、三年位前から担当営業の方にいろいろとお話を伺っていまして、カラムも含めて他社にないユニークな製品があるなという印象を持ちました。検出器のラインナップがユニークで、御社にしかない技術もあり、分析メソッドを開発するうえでそれは非常に良いなと思っていました。ポンプの種類なども選択できるので、柔軟にシステムを組めるところも魅力的でした。あと、手で締めるだけで使える配管(Thermo Scientific Viper および nanoViper フィンガータイトフィッティング)は、使いやすそうだと感じました。

―― 装置導入の目的は、より良い製品をお客様に提供していくための高度な品質管理ということでしたが、そういったニーズに対して弊社の製品が貢献できるというイメージはお持ちだったのでしょうか?

タムラ LCの検討を始めたとき、もともと御社の別の分析装置を使用していて、対応がとても早く非常にサポートがしっかりしているという印象があり、安心して使えるだろうな、というイメージがLCに対してもありました。装置サポートがしっかりしているので高い稼働率のLCでも、信頼性の高いデータを生み出して製品品質に貢献することができるのではないか、というところは重要でした。

―― 稼働率を高い水準で保つことも選定ポイントだったのですね。他に弊社製品のご購入を決めてくださった理由があれば教えてください。

タムラ: 複合材料の場合、UV検出器だけでは全成分を検出できないので、以前から弊社では御社の荷電化粒子検出器(CAD)を利用し、分析精度を高めていました。感度や重量応答性、あとは堅牢性の高さが気に入っていて、そのCADが御社独自の技術であったことは御社製品を選んだ理由の一つです。

あとは他社と比較したときのMSの性能、そして、先ほど申し上げたサポートがしっかりしていることが大きな理由です。

次に、制御ソフトウェアの使いやすさですね。我々はいろいろな分析装置を使用していることは先ほどお話しましたが、メーカーが違うと制御ソフトウェアも違いますから、業務をスムーズに行うために制御ソフトウェアの使いやすさは非常に重要な要素でした。装置の性能が第一ですが、それを十分に活かすためにソフトウェアの使いやすさを重視して導入を決めました。以前使用していたものは使いこなせなかったので、直感的に操作出来るChromeleon(クロメレオン、Thermo Scientific Chromeleon CDS)は大きな決め手になりました。

また、御社はいろいろな装置を扱っていますので、問題について相談したときに多角的にご意見いただけるという点も理由の一つです。

―― 特定製品の性能ではなく、サポートも含めたLCシステムとしての総合力が重要だったということですね。弊社は「One Thermo」というスローガンを掲げて、幅広い製品を有する科学機器メーカーとしてお客様のお仕事を多角的にサポートして行くという目標がありますので、そのように言っていただけるとすごく嬉しいです。ありがとうございます。

5.高度な品質管理にも役立つ直観的な使いやすさとサポート

―― サポートも含めたLCシステムとしての総合力を理由に装置をご導入いただいたのですが、導入後弊社の装置をどのように活用されているのでしょうか?

タムラ: 我々は材料の開発を行っていますので、その材料の性能・特性の確認の為に使っています。それから、品質を保つため、製造工程を定期的に確認し、科学的な視点から品質を揃えるための調査にも使っています。

―― 導入されてイメージ通りに運用できた部分や、助かっていることがあれば教えてください。

タムラ 配管類がViperなので、工具を使わず手締めでカラム交換を行えるようになって、イメージ通り、とても使いやすいです。それから、助かっている部分としては、溶媒やカラム切り替えバルブを付けたことで、カラムやメソッド検討の時間短縮ができたことが挙げられますね。非常に役立っています。

―― メソッド開発もこちらの装置で実施いただいていますね。制御ソフトであるChromeleonのメソッド開発機能は如何ですか?

タムラ 通常の分析をするときも、メソッド開発をするときも同じソフトウェアで、使い方が一緒なのでとても使いやすいです。直感的に操作できる点も作業効率の向上に役立つと感じます。

―― 逆にイメージと違った部分があれば教えて頂けますか?

タムラ 従来機は分析に使用する溶媒量を測定するごとに記録する必要があったのですが、グラジエントの場合、計算が煩雑でした。御社のLCは溶媒の自動計算機能が入っているので、計算する手間が減って、時間短縮と溶媒設定の節約ができるようになったのは、もともとイメージしていなかったのでうれしい誤算です。

―― 営業、アプリケーション、サービスなど、今サポート体制については導入される前から安心感があったというお話をお伺いしていたのですが、実際今のところ、その感想は変わらないままですか?

タムラ はい。実際に感じるところとしては、担当営業の方、アプリケーションの方、そしてカスタマーサポートの方、よく連携を取っていただいているなと感じますね。

何か疑問があると、担当営業の方やマーケティングの方がアプリケーションやサービスに確認してくださいます。アフターサポートとなると役割が別れてしまって話が繋がらないということがあるのですが、御社はそういったところがないので、非常に助かっています。

―― ありがとうございます。弊社のサポート体制にご満足いただけているようで安心いたしました。

6.トリプル検出の魅力とこれから

――では、ご導入いただいたシステムについて別用途への展開や、弊社含めて装置メーカーに期待することなどがあればお願いいたします。

タムラ もっと質量分析計(MS)や、逆グラジエントの効果を活かしたメソッドを作ってみたいと考えています。

―― そうすると、システムのポテンシャルをフルに使うような形で使い込んでいく、というのが今後の展望なのですね。そこで弊社が何かサポートできることなどございますか?

タムラ MSの設定ですね。条件をまだEasy Modeでしか試せていないので、もっと適した条件設定ができないか、サポート頂けるとありがたいです。

また、御社が提唱するトリプル検出システム(UV、荷電化粒子検出器、MS)には非常に魅力を感じます。この構成だと従来に比べて検出できる成分の幅が飛躍的に広がることが期待できます。御社だけのユニークなものですから我々使う立場の製造業と分析機器メーカーが連携していろいろなアプリケーションを増やしていくことが、相互利益につながるのではないかと考えています。

―― 是非、お願いします。トリプル検出システムの優位性を知って頂けるようなアプリケーションを弊社もどんどん作っていく予定です。そうすることで、ご購入いただいたお客様に、購入時の目的以外の使用方法、装置用途の拡大につながる提案ができると考えています。

システムとして、検出できる成分の網羅性を最大化できることの優位性を発信していきたいので、御社でご導入いただいたシステムも、いろいろなことに応用して頂けたらと思います。もちろん、私たちもサポートはしっかりさせていただこうと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

7.今回のお客様

株式会社タムラ製作所 電子化学実装事業本部 先行技術開発統括部 様

https://www.tamura-ss.co.jp

8.編集後記

株式会社タムラ製作所様は2024年に創業100周年を迎えられるそうです。製品開発や品質向上に真摯に取り組む姿勢からは、「お客様に世界の一流品を提供する」という創業精神が今もしっかりと受け継がれていることが感じられました。

創業期から変わらずに、顧客ニーズを捉えた製品を市場に投入し続けている原動力を垣間見ることで、そんな熱意を持ってお仕事に取り組まれているお客様を今後もしっかりとサポートさせて頂こうと決意を新たにしたとともに、私どもの装置を選んで頂けたことを誇りに思えた、とても幸せな時間となりました。ありがとうございました。(田口)

9.関連情報

Viperフィンガータイトフィッティング

Dionex Chromeleon 7.2 クロマトグラフィーデータシステム

【お客様事例:半導体製造】 LC-CADを用いたレジスト材料の品質管理

 

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