iPS細胞を用いた新しい遺伝子治療法の開発へ(京都大学iPS細胞研究所 堀田秋津氏)-「NEXT」2016年3月号掲載

iPS細胞を用いた新しい遺伝子治療法の開発へ(京都大学iPS細胞研究所 堀田秋津氏)-「NEXT」2016年3月号掲載

細胞継代や導入評価はCountess Ⅱ FL 自動セルカウンターで正確、迅速に

堀田秋津氏(京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門)

堀田秋津氏(京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門)「数年前までは夢物語でしたが、遺伝子病の治療法の一つとして『ゲノム手術』という新しいアプローチで研究を進めています」。こう語るのはiPS細胞研究センターの堀田秋津氏。効率の良い遺伝子導入ベクターや高精度なゲノム編集を駆使し、血友病や筋ジストロフィーという遺伝子病の治療法開発を進めています。鍵は、ヒト疾患iPS細胞。この細胞をベースに、ヒト疾患を引き起こす遺伝子変異の修復を目指します。iPS細胞に特徴的な細胞塊での継代や、新規ベクターによる遺伝子導入の一次評価は、Invitrogen™Countess™ Ⅱ FL 自動セルカウンターを使って、スピードアップを図っています。

遺伝子治療へのアプローチ

「血友病の治療法では、血液凝固因子を効率よく導入するためのベクター開発を行ってきました。デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、患者由来のiPS細胞でジストロフィン遺伝子をゲノム編集で機能回復させることで細胞治療につながる研究をしています」と堀田氏。2014年、TALENやCRISPR技術を使って、患者由来のiPS細胞中のジストロフィン遺伝子の欠失変異をゲノム編集し、正常な筋細胞へ分化することを報告しました。「ジストロフィンは220Mbという巨大遺伝子。途中で何らかの遺伝子変異が起こり、読み取り枠がずれてしまえば、短くて機能しないタンパク質しかできず、筋肉タンパク質を細胞膜に繋ぎ止めることができなくなります。細胞レベルでは、ジストロフィン遺伝子を『修復』できたので、次は患者さんの治療へ向けて細胞分化等を共同研究中」と続けます。

iPS細胞の継代には細胞数計測が重要

「iPS細胞は、コロニーの状態で増えていきます。継代の時はトリプシンでバラバラにせず、コラゲナーゼ等で剥がして小さな塊にして撒き直します。この時、塊の細胞数が多すぎると分化し易く、また少なすぎると細胞が死んでしまいます。細胞継代はルーチンワークですが、iPS細胞の場合は一般的な不死化細胞株と比較して特に難しく、しかも大事な作業となります。Countess Ⅱ FL 自動セルカウンターを使うと、プログラムを設定すればコロニー状の細胞であっても計測できるので、培養経験が少なくても再現性良く継代できます。また、計測と同時に細胞がモニターに表示される機能もいいですね。自分の眼でピントが合っていることや、細胞塊の大きさや分散具合をチェックできるので。僕はアナログ人間なので、長年使ってきた血球計算盤の様に自分の目でチェックできると安心なんです」と話します。「また細胞計測だけでなく、開発中のベクターDNA導入効率を一次評価する時など、モニター遺伝子のGFPやRFPの発現を蛍光チャネルで計測しています」と堀田氏。培養室のセルカウンターは、毎日誰かが使っているそうです。

これからの研究に向けて

「筋ジストロフィーの遺伝子治療は、細胞治療によるアプローチだけでなく、直接患者さんにCRISPR-Cas9を投与するアプローチも想定しています。最近、この技術で疾患マウスの病態が改善されたという報告がありましたが、ヒトとマウスでは遺伝子もゲノムも違います。私たちはヒト疾患iPS細胞を活用することで、治療につながる技術開発を進めています。現在は、デュシェンヌ型でも頻度の高い変異の修復にフォーカスして研究を進めていますが、将来的には一人ひとりの患者さんの遺伝子変異に合せた究極のカスタムメイド医療が実現するかもしれません。自分たちの技術開発が少しでも患者さんの治療につながることを目指して、日々研究に取り組んでいます」と堀田氏は語ります。

細胞数をワンステップで迅速、正確にカウント
Countess Ⅱ FL 自動細胞カウンター

Countess Ⅱ FL 自動細胞カウンター

  • 便利なオートフォーカス
  • タッチスクリーンによる直感的操作
  • 10秒で迅速測定
  • DAPI・GFP・RFPなどの蛍光計測も追加可能

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ライフサイエンス情報誌「NEXT」

NEXT2016年3月号

当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2016年3月号からの抜粋です。
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