動物細胞発現系でのタンパク質生産支援から創薬をサポート(大阪大学蛋白質解析先端研究センター 三原恵美子氏、海津正賢氏、有森貴夫氏)-「NEXT」2016年3月号掲載

動物細胞発現系でのタンパク質生産支援から創薬をサポート(大阪大学蛋白質解析先端研究センター 三原恵美子氏、海津正賢氏、有森貴夫氏)-「NEXT」2016年3月号掲載

一過性大量発現系Expi293 Expression Systemで高難度タンパク質も効率よく精製

三原恵美子氏(大阪大学蛋白質研究所附属蛋白質解析先端研究センター特任研究員)
海津正賢氏(同センター特任助教)
有森貴夫氏(同センター特任研究員)

三原恵美子氏(大阪大学蛋白質研究所附属蛋白質解析先端研究センター特任研究員)「無血清で培養可能なタンパク質発現系を探していました。試しにGibco™ Expi293™ Expression Systemを使ってみたところ、従来よりも15倍も発現量が向上したタンパク質もありました」と語るのは、大阪大学の三原恵美子氏(写真前列)。三原氏が所属する研究室は、13年ほど前より動物細胞での発現系を使いこなしてきた実績から、日本医療研究開発機構による「創薬支援技術基盤プラットフォーム事業」の一環として、創薬に役立つタンパク質の発現生産の支援や技術開発を担当しています。

難発現性タンパク質も哺乳類細胞発現系で可能に

全国の研究機関へのタンパク質発現支援を行う中で、より高収量で精製も楽な発現系を検討し始めた三原氏。「2年前からExpi293 Expression Systemを使い始めました。接着細胞では面積の制約がありますが、浮遊細胞で高密度に培養できるため、動物細胞における一過性大量発現系として非常に有用です。またタンパク質にもよりますが、大腸菌や昆虫細胞では発現しなかったタンパク質の発現にも成功しました」と語ります。同じ研究室の海津正賢氏(写真右)は、「動物細胞を使うメリットは翻訳後修飾にもあります。大腸菌では翻訳後修飾はなく、昆虫細胞でも糖鎖の付き方がヒトとは異なる場合があります。その点、このシステムはHEK293細胞がベースなので、ヒト由来タンパク質を正確に、安定して発現する系として期待できます。実際に、このシステムを用いて生産したある細胞増殖因子が活性を持つことが確認できており、構造解析にも問題なく使えています」と続けます。

一過性発現で抗体を大量かつ短期間に精製

主に高付加価値抗体の作製やエンジニアリングを担当する有森貴夫氏(写真左)は、「タンパク質の結晶構造解析には、一般的に、最初に1 mg以上の試料が必要になります。これまでは安定発現株を構築して大量培養して精製することが一般的でしたが、このシステムを使うと1 Lの培地換算で120 mgの抗体を回収できた例もあります。しかも抗体精製には、Protein AやGのカラムを使うのが主流であり、血清からの抗体混入のリスクがありましたが、無血清培地なので精製が楽になりました」と語ります。海津氏も「安定発現細胞株の樹立には通常1,2か月かかりますが、一過性発現であれば、最短で1週間から10日で結晶化まで進めることも可能。昆虫細胞での発現も、ウイルス調製に手間や時間がかかります」と一過性発現のメリットを指摘します。

構造生物学からの新たなアプローチ

タンパク質の発現量の比較受託支援と並行して、研究室では神経系や免疫系などの様々な細胞におけるシグナル伝達分子を構造生物学手法から研究中。海津氏は「これまでは量的な制限もあり、タンパク質を部分的にしか構造解析できない場合がありました。このシステムを使えば、タンパク質を丸ごと解析するチャンスも増えそうです。また、糖鎖を均一化する目的でキフネシンという薬剤を培地に添加する方法がExpi293 Expression Systemにおいて有効であることもわかり、目的タンパク質の結晶化に向けたアプローチ法も増えそうです。当研究室ではこのシステムを用いて、すでに受理された論文※や準備中の論文もあり、研究のベースとして今後も活用したい」と話します。
※”Active and water-soluble form of lipidated Wnt protein is maintained by a serum glycoprotein afamin/α-albumin” eLife, in press (2016)

大量発現を可能にした哺乳類細胞の一過性発現システム
Gibco Expiシリーズ (3製品)

Gibco Expiシリーズ

ライフサイエンス情報誌「NEXT」

NEXT2016年3月号当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2016年3月号からの抜粋です。
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