ダイレクトリプログラミングで細胞の機能を操作する(理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター 鈴木貴紘氏)-「NEXT」2016年10月号掲載

ダイレクトリプログラミングで細胞の機能を操作する(理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター 鈴木貴紘氏)-「NEXT」2016年10月号掲載

長いフラグメントのPCRもPlatinum SuperFi DNA Polymeraseで克服

鈴木貴紘 氏(理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 オミックス応用技術研究グループ 細胞機能変換技術研究チーム)

鈴木貴紘 氏(理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 オミックス応用技術研究グループ 細胞機能変換技術研究チーム)iPS細胞を経ずに目的の細胞をつくる“ダイレクトリプログラミング”の実現を目指す理化学研究所研究員の鈴木貴紘氏。10年ほど前から細胞の機能を決める“転写制御ネットワーク”の解析に取り組んできましたが、分化した細胞でも転写制御ネットワークを再構築することで、別の細胞に変えられるのではないかと考え、2012年にヒトの線維芽細胞を単球様細胞へと変換させることに成功しました。「我々のグループの最終的なミッションは、細胞の機能を操作すること」と話す鈴木氏は、さらなる飛躍を目指して新たなアプローチにも着手しています。

転写制御ネットワークの解明からダイレクトリプログラミングへ

鈴木氏の所属するグループは、2006年に国際科学コンソーシアムFANTOM(Functional Annotation of the Mammalian Genome)4を主催し、ヒト白血病由来細胞株(THP-1)を用いた解析から、分化における遺伝子の転写制御ネットワークモデルの構築に成功しました。「この仕事から、細胞の形質は、案外少ない転写因子で制御されていることがわかってきました。ちょうどその頃、iPS細胞の論文が出て、たった4つの転写因子を細胞に導入するというコンセプトが、自分たちの考えにも当てはまると思い、ダイレクトリプログラミングの研究を始めるきっかけとなりました」と振り返ります。

そして、自分たちの強みである転写制御ネットワークからのアプローチにより、ヒトの線維芽細胞を単球様細胞に変換させることに成功します。これは「細胞Aの転写制御ネットワークを細胞Bの中に再構築すれば、細胞Bは細胞Aになるはずだ」との発想によるもの。他の細胞の作製にも使えることから、再生医療や創薬開発など先進医療への貢献が期待されています。
「ただし、実際にできた細胞は単球の機能はもつものの、細かく調べると生体内の単球とは違う部分が多く、元々の線維芽細胞のエピゲノムがほとんど変化していないことがわかりました。現在、それがどのように制御されているのかを探る研究を進めています」。

長いフラグメントのPCRがPlatinum SuperFiで成功

実験では、PCRで遺伝子のクローニングをする機会が多いという鈴木氏。「約4kbpという長いフラグメントと他のものをつなげるときに、いろいろと条件を変えても増えてこないことがありました。でもこの酵素を使ったら、プロトコールどおりに行い、最初からうまくいきました(図参照)」。さらにこれまでうまくいっていた反応も、この酵素を使うと収量が上がり、しかもスメアなバンドがクリアになり非特異的反応も抑えられたとか。「うまくいく保証もないままひたすら手間のかかる条件検討を行うのは、無駄に時間やお金を費やすことになり、精神的にも疲れます。酵素を変えるだけでこれだけうまくいくのなら、価格よりも性能で選んだ方が、結局は安上がりで効率的ですね」。

PCR反応における酵素の比較[図 PCR反応における酵素の比較]
4kbのDNAフラグメントに対するPCRを、他社酵素K(左)とPlatinum SuperFi DNA Polymerase(右)で比較しました。その結果、3種のプライマーでPlatinum SuperFiは反応が進み、酵素Kでは進みませんでした。ポジテイブコントロールの収量もPlatinum SuperFiで増加していました。

今後はエピゲノムの制御がカギに

今、世界中でダイレクトリプログラミングの課題を突破しようと、さまざまなアプローチで研究が行われています。「もとの細胞のエピゲノムが残ってしまうという課題は、我々だけでなくiPS細胞研究でも共通。避けては通れません。これからはエピジェネティクスからのアプローチにも力を入れていきたい」という鈴木氏。今後の成果が楽しみです。

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ライフサイエンス情報誌「NEXT」

NEXT2016年10月号当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2016年10月号からの抜粋です。
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