デジタルPCRによる遺伝子組換え作物定量分析法の開発(農業・食品産業技術総合研究機構 真野潤一氏)-「NEXT」2016年10月号掲載

デジタルPCRによる遺伝子組換え作物定量分析法の開発(農業・食品産業技術総合研究機構 真野潤一氏)-「NEXT」2016年10月号掲載

QuantStudio 3DデジタルPCRシステムで検査法の簡易化、低コスト化を実現

真野潤一氏(農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門)

真野潤一氏(農業・食品技術総合研究機構 食品研究部門)「現在、日本では法律に基づいて遺伝子組換え(GM)食品の表示制度が定められており、その科学的検証のためにリアルタイムPCRを用いた定量検査が行われています。一方、新しい遺伝子定量技術としてデジタルPCR法が開発され、検査への応用が期待されています」と語るのは、農業・食品産業技術総合研究機構の真野潤一氏。GM作物の定量検査の簡易化、低コスト化を目指し、デジタルPCRを利用したGMトウモロコシの定量検査法を開発中です。

GM作物定量検査におけるリアルタイムPCR法の課題

「GM作物に導入されている組換え遺伝子と作物がもともともつ内在性遺伝子のコピー数をリアルタイムPCRで測定し、その比率から組換え体の混入率(%)を算出するのが現在の検査法です。このリアルタイムPCR法は汎用的な装置を使う利点がありますが、相対定量なので、サンプル測定時に毎回、既知濃度の標準物質で検量線を作成する必要があります。例えば96ウェルプレートを使って、組換え遺伝子と内在性遺伝子を定量する場合、検量線用に36ウェルも使います」と真野氏。「しかも検量線を作るために必要な標準物質は、厳密な品質管理が必要になるため、検査法開発に手間がかかる上、検査の現場でも標準物質のコストがかさんでしまいます」と現在の検査法の課題を指摘します。

デジタルPCRによる定量検査法

「デジタルPCR法は、絶対定量で測定するので検量線を作る必要がなく、測定の簡易化が望めます。またリアルタイムPCR法に比べて精度が高く、併行測定回数を減らせるメリットもあります」と真野氏。「開発中のデジタルPCRによる分析法では、組換え体を35Sプロモーター(P35S)とNOSターミネーター(TNOS)で検出します。対照となる内在性遺伝子はトウモロコシ由来のスターチシンターゼⅡb遺伝子を標的としています。反応系は、3つの標的をマルチプレックス検出できるようにデザインしてあり(P35SおよびTNOSをFAM検出、SSⅡbはVIC検出)、デジタルPCR用チップ1枚の分析でGMの混入率を算出することができます。測定はAppliedBiosystems™ QuantStudio™ 3DデジタルPCRシステムで行い、従来法のリアルタイムPCR法と比較しました」と実験内容を説明します。

精度が高く、しかも真値に近い値で定量

「その結果、デジタルPCR法を使うと分析結果のばらつきが小さく、しかも、偏りの少ない正確な混入率が得られました。現在流通しているGMトウモロコシは、P35S、TNOSのどちらか、もしくはその両方が導入されています。リアルタイムPCR法では、各領域を個別に定量するので、同一ゲノムにP35SとTNOSの両方が存在すると混入率が2倍に過大評価されます。これに対してデジタルPCR法では、近傍に位置するP35SとTNOSが同一ウェルに配置され、組換えDNAを重複せずカウントできます(図)。実際にGM作物を含む試料をリアルタイムPCR法とデジタルPCR法の両方で分析したところ、後者で過大評価が少なく、真値に近い測定結果が得られました」と真野氏。「P35SとTNOSを測定対象にすることで流通するGMトウモロコシ全てを一度に検出でき、しかもデジタルPCRで過大評価のない正確な測定ができると期待しています。偽装表示を見逃さない検査法があってはじめて、食品の表示が信頼できるものになります。開発中の検査法が、食品表示の信頼性向上に役立てばうれしい」と話します。

デジタルPCR法によるGM定量の模式図[図 デジタルPCR法によるGM定量の模式図]
デジタルPCR法ではポジティブウェルの個数で定量するので、P35Sのみを含む組換え体サンプル1と同じように、P35SとTNOSの両方を含む組換え体サンプル2も、過大評価なく真値に近い値で定量されます。

デジタルPCRでレアな遺伝子変異にアプローチ
QuantStudio 3D デジタル PCR システム

コンパクトサイズで使いやすいデジタルPCRシステムです。20,000個の微細なウェルを持つチップで、微量な遺伝子を絶対定量します。ヒトがん研究で汎用される遺伝子変異検出アッセイも続々ラインアップ中!

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ライフサイエンス情報誌「NEXT」

NEXT2016年10月号当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2016年10月号からの抜粋です。
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