心臓の性能を決める臓器間・細胞間コミュニケーション解明へ(東京大学医学部附属病院循環器内科 藤生克仁氏)-「NEXT」2016年10月号掲載

心臓の性能を決める臓器間・細胞間コミュニケーション解明へ(東京大学医学部附属病院循環器内科 藤生克仁氏)-「NEXT」2016年10月号掲載

タフで操作が楽なEVOS FL Auto Cell Imaging Systemで気軽に経過観察

藤生克仁氏(東京大学医学部附属病院循環器内科・特任助教、JSTさきがけ併任)

藤生克仁氏(東京大学医学部附属病院循環器内科・特任助教、JSTさきがけ併任)循環器内科医として臨床に携わる傍ら、組織学中心の循環器系では珍しい分子生物学的な手法で血管研究を進めてきた東京大学医学部の藤生克仁氏。心臓のストレスに応答する転写因子KLF5を組織特異的にノックアウトし、心臓機能を支える臓器間コミュニケーションの姿を明らかにしています。さらに、これまでは見向きもされなかったマクロファージと心筋細胞との細胞間コミュニケーションにも着目し、寿命を左右するほど重要な機能を生む分子機構に迫っています。

臓器間の連携を細胞の共培養から探る

「心筋梗塞に繋がる最大のリスクは、腎臓の機能障害、次に高血圧、糖尿病と続きます。腎臓が正常に機能することで、心臓が安定すると言われています。臓器を連携させる分子機構に、心不全・心筋梗塞の治療や予防の可能性を感じました」と、藤生氏は研究の発端を振り返ります。さまざまな仮説を立て検討するうちに、血管研究で注目される転写因子KLF5が、腎臓の実質細胞でも発現が高いことに気づきました。その発現量を低下させると、炎症と線維化のステップが解離し、KLF5が炎症に関わるマクロファージの動員に関与することがわかりました。

そこで次に心筋細胞とマクロファージの関係を探ることに。心臓を構成する細胞のうち、マクロファージはたった1%ほど。不要なものを除くただの「ゴミ箱」と考えられていました。「KLF5を発現する心臓の実質細胞にマクロファージがどんな影響を及ぼすか、共培養で調べることにしました。vivoに近い環境で細胞間コミュニケーションを観察するために、胎仔マウスの心臓の細胞をバラバラにしてまるまる初代培養しました。ぴくぴくと動く心筋細胞、それをとりまく線維芽細胞や血管内皮細胞、そして小さなマクロファージが培養皿上で共存する状況です。ここから薬剤でマクロファージだけを除くと、心筋細胞が肥大せず、強い収縮力が失われてしまいました」と、そのマクロファージの重要性を指摘します。「このような実験は、どんなタイミングで何が起きるかわからないので、最初からタイムコースのスケールを予想できません。そこで共焦点顕微鏡で本格的にタイムラプス撮影を行う前に、使いやすいEVOS FL Auto Cell Imaging Systemで、数時間おきに培養皿をインキュベーターから取り出し観察し、適したタイムレンジを探りました。細かな設定なしで、やりたい実験をすぐに開始できる点が便利ですね」と、ストレスフリーで進めた予備実験を振り返ります。

心筋細胞間の収縮伝達を蛍光観察で追う

「心臓の性能が私たちの寿命を決めています。心臓内の血液の何割を押し出せるかという収縮力や、1回の拍動にかかる時間がその性能に関わっています」と、誰もが気になる内容を口にする藤生氏。心筋細胞は隣の細胞とギャップジャンクション(孔)を作ります。内膜がマイナスからプラスになってまたマイナスに戻る脱分極を起こすと、細胞は収縮します。脱分極は、孔を介して隣へ伝わっていき、心臓全体に伝わると1回の拍動になります。拍動にかかる時間は、脱分極が伝わる速さ、細胞間の孔の数に依存します。

「心筋細胞を6ウェルの培養皿に撒き、孔の数をscrape-loading testで評価しました。具体的には細胞膜を通過しない蛍光分子を培養液に加え、細胞をひっかき、傷口から細胞内に入れ、蛍光領域が広がる速さで、細胞間の孔の数を推定します。マクロファージを除くと、この速さが大幅に落ちたのです」。その様子もEVOS FL Auto Cell Imaging Systemが確実に捉えました。「傷口の場所を記憶し自動撮影する機能があるので、1ウェルあたり数か所の傷を短時間で解析でき、負担なくできました。大学院生が初めて画像を撮りましたが、操作に迷うこともなかった様です。レンズの作動距離が長く、オートフォーカスなどの支援機能があるので、経験の有無にかかわらず、品質の良い写真が撮れるという安心感がありますね。またシンプルな構造なので故障が少ない点も助かっています」とコメントします。

心筋細胞の活性化因子やその受容体も見つかってきました。薬剤への応用に期待が募ります。今後は、マクロファージ内の分子メカニズムに迫る予定と、展望も明白。手足として軽やかに動く顕微鏡とともに、拍動のように着実に、心臓の性能を支える分子機構を明らかにしていきます。

もっと、イメージングを楽しもう!
EVOS FL Auto 2 Imaging System

EVOS FL Auto 2 Imaging System新登場のInvitrogen™ EVOS™ FL Auto 2 Imaging Systemは、生細胞イメージング、タイムラプス、画像タイリング、Z-スタック撮影をはじめとした細胞ベースのイメージング手順を簡略化するベンチトップ型蛍光顕微鏡です。従来の機器から、さらに使いやすさを追究し、データ分析をより重点的に行うことができます。さらなる進化でイメージングに革新を起こす最新モデル、まずはデモで体験してみませんか?

  • スキャン速度とオートフォーカス機能を強化し、スループットとデータ品質を向上
  •  調光可能な高輝度LED光源を採用し、精度の高い定量性を実現
  • 光路設計を改良、カメラ選択機能を追加し、高画質化

蛍光顕微鏡を含め、EVOS シリーズは全部で5機種。
どれも使いやすい、オールインワン顕微鏡システムです。

EVOSシリーズの詳細情報やデモのお申込みはこちらから

ライフサイエンス情報誌「NEXT」

NEXT2016年10月号当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2016年10月号からの抜粋です。
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