IL-15産生性の免疫微小環境における免疫系細胞の機能解析へ(京都大学ウイルス・再生医科学研究所 崔広為氏、生田宏一氏)-「NEXT」2017年7月号掲載

IL-15産生性の免疫微小環境における免疫系細胞の機能解析へ(京都大学ウイルス・再生医科学研究所 崔広為氏、生田宏一氏)-「NEXT」2017年7月号掲載

磁気ビーズでダメージの少ないCD4ナイーブT細胞を分離

崔 広為 氏 (京都大学ウイルス・再生医科学研究所 免疫制御分野 助教)
生田宏一 氏 (京都大学ウイルス・再生医科学研究所 免疫制御分野 教授)

崔 広為 氏 (京都大学ウイルス・再生医科学研究所 免疫制御分野 助教)「サイトカインの一つであるIL-15の免疫微小環境における役割を研究しています。IL-15は、がんの微小環境やインフルエンザウイルス感染時に局所的に増加し、ある種の免疫細胞の機能を制御する重要な因子」と語る京都大学の崔広為氏。研究に使う免疫系細胞の分離に磁気ビーズを活用しています。「例えばリンパ節からCD4ナイーブT細胞を単離して解析する場合、抗体刺激を受けず、物理的なダメージが少ない磁気ビーズ分離法が有用」と話します。サイトカインを切り口に、免疫系細胞の分化・応答・成熟の分子メカニズムの解明を進める生田宏一教授と崔氏に、研究の概要や免疫系細胞分離について伺いました。

サイトカインが支える多彩な免疫系細胞の機能

生田氏は研究室のテーマを次のように語ります。「免疫系が構築されるとき、すなわちリンパ球が分化成熟する過程に興味を持って研究を進めてきました。特にリンパ球の初期分化や成熟T細胞の維持に重要な働きをするIL-7を中心に、IL-7レセプターがリンパ球抗原受容体の遺伝子組換えをSTAT5によるクロマチン構造変換を介して誘導することや、T細胞の活性化・機能抑制も制御することを、エピジェネティクスの観点から明らかにしてきました。また最近では、まだ実態がつかめない免疫系微小環境の研究や、免疫系と内分泌系の相互作用、免疫系の概日リズムの研究も展開しています」。主なテーマは、(1)免疫系細胞におけるIL-7レセプターの分化シグナル(2)IL-7レセプター発現の制御機構と機能(3)IL-7およびIL-15産生細胞の可視化と局所機能など。すでにテーマ(3)については、IL-7遺伝子座にGFP-cDNAを挿入したノックインマウスや組織特異的IL-7遺伝子破壊マウスを用いて、IL-7産生細胞の生体内分布と機能を明らかにしています。

安定した機能解析を実現するために

「2014年にIL-15-CFPノックインマウスを作製し、生体内のIL-15産生細胞がストローマ細胞であり、特徴的な分布や発現様式を明らかにしました。今後はIL-15産生細胞の局所機能や免疫系細胞と相互作用を解析します。そのために、マウスのリンパ節から特定のリンパ球を取り出し、in vitroでさまざまな機能解析を行っています。今回、Magnisort Mouse CD4 naive T cell Enrichiment kitでCD4ナイーブT細胞をネガティブセレクションで分離したところ、ナイーブ性を保持したまま、高純度に細胞を分離できました(図参照)。数年前まではフローサイトメーターで分取していましたが、目的細胞を抗体標識で分離するので、何らかの刺激が入る可能性があり、装置の事前調整の手間や安定性も心配でした。磁気ビーズ分離法は簡便で回収率も高いので計画通りに実験が進みます。今では細胞数が少ないなど特別な場合しか、装置分離は行わなくなりました。またリンパ球だけでなく、今後、IL-15産生性ストローマ細胞の分離も試す予定」と崔氏は語ります。

「免疫微小環境において、IL-7とIL-15は特に重要なサイトカインです。IL-7は初期リンパ球の増殖・分化や成熟T細胞の維持などに関与し、IL-15はNK細胞の増殖・分化や成熟T細胞の維持など重要な働きをします。さらに研究を加速し、サイトカインを切り口に免疫微小環境の全体像に迫っていきたい」と生田氏は話します。

[マウスリンパ節からキットで分離したCD4ナイーブT細胞][マウスリンパ節からキットで分離したCD4ナイーブT細胞]
野生型マウスリンパ節から細胞懸濁液を調製し、CD4ナイーブT細胞を磁気ビーズを使って、ネガティブセレクションで分離。各種マーカーでCD4ナイーブT細胞を確認しました。回収率は70-80%で、純度98-99%のCD4ナイーブT細胞を分離できました。

カラム不要の磁気ビーズで純度の高い細胞分離を
MagniSort Cell Separation kits

MagniSort Cell Separation kits

Invitrogen™ MagniSort™ Cell Separation kitsは、カラムを使わない磁気ビーズによる細胞濃縮キットです。フローサイトメーターなどの機器を使わず、細胞へのダメージを抑え、ダウンストリーム実験に適した細胞を分離できます。目的や細胞別に約50種類のキットを取り揃えています。

MagniSort Cell Separation kitsの詳細情報はこちらから

ライフサイエンス情報誌「NEXT」

NEXT2017年7月号当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2017年7月号からの抜粋です。
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