iPS細胞技術と微量な遺伝子発現検出を抗がん剤スクリーニングに応用(東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター 伊藤謙治氏)-「NEXT」2018年10月号掲載

iPS細胞技術と微量な遺伝子発現検出を抗がん剤スクリーニングに応用(東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター 伊藤謙治氏)-「NEXT」2018年10月号掲載

TaqMan AssayによるマルチプレックスリアルタイムPCRで好感度なアッセイ系を構築

伊藤謙治 氏(東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター先進病態モデル研究分野 特任研究員)

伊藤謙治 氏(東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター先進病態モデル研究分野 特任研究員)

「リプログラミング技術を応用して、エピゲノム制御異常が発がん過程に関与することを明らかにする」との目標を掲げる東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター先進病態モデル研究分野。研究員の伊藤謙治氏はiPS技術を活用し、がん細胞の運命決定に着目した抗がん剤スクリーニングにアプローチしており、「多くの条件検討を重ねた結果、タンパク質レベルではなくmRNAレベルでのスクリーニングにたどり着きました」と語ります。伊藤氏にこのスクリーニング系を採用した理由と、mRNA発現解析に用いるApplied Biosystems™ TaqMan® Assay(以下TaqMan Assay)の利用について伺いました。

mRNA発現解析から抗がん剤スクリーニングへのアプローチ

iPS細胞技術を活用した抗がん剤スクリーニング系の開発について、「プロジェクトに参加して1年ほど、標的遺伝子にGFPやルシフェラーゼなどのレポーターを繋いだタンパク質レベルでの発現を指標にしたアッセイ系を試してみましたが、なかなか感度が良いスクリーニング系を立ち上げられずにいました。この原因として、標的遺伝子の発現量が低いために、タンパク質レベルで十分な感度が得られないのではと考えました。そこで遺伝子発現の変化を感度良く捉えるために、スクリーニング系としては少しマイナーなmRNAレベルでの発現解析を試してみることにしました。苦労したかいがあり、初めてポジティブなデータを得たときはとても嬉しかったですね」と伊藤氏は振り返ります。「その後、TaqMan Assayを使ったマルチプレックスリアルタイムPCRでスクリーニング系を洗練させてきました」と続けます。

検出感度と再現性の高いTaqMan Assayがスクリーニングを支える

「TaqMan Assayの導入時、アッセイ系はテクニカルサポートに相談しつつ順調に構築しました。アッセイターゲットは、標的遺伝子、内部コントロール、そして外来性遺伝子の3つだったので、FAM、VIC、ABYの3色のTaqManプローブを使うことに決めました。3つの遺伝子の発現解析を同一のアッセイ系で行うので、PCRの回数を減らせますし、ピペット操作などの手技のぶれが抑えられます。スクリーニングでは千種類程度の化合物を試すので、なるべくコストを抑えた上で感度が良いアッセイ系を用いて評価したい」と伊藤氏。またこれまで特に吟味してきたというRNA抽出方法については、「Invitrogen™ TaqMan® Gene Expression Cells-to-CT Kitを使って、96ウェルプレートで培養した細胞から簡便かつ十分にmRNAを抽出できています。他社製品を試したこともありましたが、手技は簡便でもmRNAの収量が低く、標的遺伝子のPCR増幅には至りませんでした」と続けます。また測定装置については、「京都大学iPS細胞研究所に在籍時は共通機器のApplied Biosystems™ QuantStudio™ 12K Flex Real-Time PCR Systemを使って384ウェルフォーマットでスクリーニングを行っていました。ウェル数が多いのでプレート数や時間を節約できました。研究室が東京大学医科学研究所に移動した後は、QuantStudio 5 Real-Time PCR Systemを使って96ウェルフォーマットでスクリーニングを行っています。mRNA抽出もPCR反応も96ウェルプレートで行うため、ハンドリング操作を間違えなくて済むので安心です」。個人の手技によらず再現性の高いデータを得られるそうです。

今後の展開について

「感度と再現性が高いアッセイ系を開発できたので、今後は様々ながん種に対するスクリーニング系へと拡張させたい。理論的には、このスクリーニング系はドライバー変異が未知ながんや、希少がんなど、様々ながん種に適応できると考えられます。細胞数を指標とした従来のスクリーニング系とは異なるアプローチで抗がん剤開発に貢献し、その研究を通して発がんの原因の一端を明らかにしていきたい」と伊藤氏は展望を語ります。

簡便で特異性が高いMGBプローブをカスタム合成で
TaqMan MGB 遺伝子発現検出キット

本製品は、カスタム合成したApplied Biosystems™ TaqMan® プローブとプライマーペアのアッセイキットです。MGB構造により、Tm値70°Cのプローブを20塩基以下で設計できるためホモロジーの高い配列も特異性高く検出でき、マルチプレックスアッセイも簡便に行えます。

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ライフサイエンス情報誌「NEXT」

ライフサイエンス情報誌「NEXT」当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2018年10月号からの抜粋です。
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