微細藻類と宿主の共生関係の解明や産業応用への基盤を支える(都城工業高等専門学校物質工学科 高橋利幸氏)-「NEXT」2018年10月号掲載

微細藻類と宿主の共生関係の解明や産業応用への基盤を支える(都城工業高等専門学校物質工学科 高橋利幸氏)-「NEXT」2018年10月号掲載

Countess II FL自動セルカウンターで個体数と状態評価を簡便に測定

高橋利幸 氏( 都城工業高等専門学校物質工学科准教授)

高橋利幸 氏( 都城工業高等専門学校物質工学科准教授)

藻類の中でもサイズが小さな微細藻類は、光合成を行って水圏生態系に貢献するだけでなく、機能性分子の産生や環境浄化、バイオマスなどへの活用が期待されています。しかし産業応用には、微細藻類の大量培養や品質管理が必要不可欠となります。都城工業高等専門学校准教授の高橋利幸氏は、自動セルカウンターのInvitrogen™ Countess™ II FLを活用し、微細藻類の個体数やクロロフィルの状態を簡便に自動測定する方法を報告しました。測定者によらず、精度よく測定できるため、今後の微細藻類研究をけん引する基盤技術として注目されます。

※Applicability of Automated Cell Counter with a Chlorophyll Detector in Routine Management of Microalgae Toshiyuki Takahashi, Scientific Reports volume 8, Article number: 4967 (2018)

微細藻類の共生関係と産業応用

高橋氏の研究テーマの一つは、動物性細胞に共生する微細藻類の細胞内共生機構です。研究では、ミドリゾウリムシ(Paramecium bursaria )細胞内から単離したクロレラ様共生藻やクロレラの一種Parachlorella kessleri などをモデルとして使っています。「ミドリゾウリムシが飢餓状態になっても、共生藻の光合成産物であるマルトースを活用して生き延びることができ、このような共生関係に興味があります」と高橋氏。また、「共生藻の中には、アンモニウムイオンを窒素源として利用するものがあります。アンモニウムイオンは酸化され亜硝酸・硝酸イオンとなると環境汚染の指標になるため、微細藻類の環境浄化への活用も考えています」と産業応用も視野に入れて研究を進めています。オイル産生能をもつボツリオコッカス属の微細藻類も知られており、バイオマス活用に向けた研究にも取り組んでいます。

クロロフィルの自家蛍光で個体数をカウント

「微細藻類の研究では、個体数やクロロフィルに基づく藻類の状態管理が欠かせません。個体数の計測は、血球計算盤法が一般的ですが、実験を始めたばかりの学生には不慣れで精度に問題がありました。また異なる実験条件ごとに計測すると時間や手間もかかります」と振り返ります。そこで高橋氏は、クロロフィルの自家蛍光を自動セルカウンターのCountess II FLで測定することを思いつきます。「イメージサイトメーターのように使えそうだと思いました。培養細胞よりも小さな微細藻類は、サイズだけではデブリとの見分けがつきにくく正確な計測ができませんが、蛍光で検出すれば、その心配はありません(図参照)。実際に血球計算盤法と比較したところ、ほぼ同じ値になりました。自家蛍光の励起と蛍光の組み合わせは独特ですが、Countess II FLの蛍光チャネルは20種類のライトキューブから選択できるので大変助かりました」と高橋氏は語ります。ライトキューブは、LEDと照明光学系とフィルターが含まれ、簡単に蛍光チャネルとして交換できます。

[Countess II FL自動セルカウンターによる微細藻類の測定][Countess II FL自動セルカウンターによる微細藻類の測定]

個体の状態を評価する

「微細藻類では、pHや温度などのストレスがクロロフィルの状態に影響を与えます。以前、フローサイトメーターで測定したことがありますが、搭載しているレーザーやフィルター類が汎用的な蛍光色素や蛍光タンパク質の検出を想定しているため、自家蛍光の検出には不自由な点もありました。今回、Cy5用のライトキューブを使い、高温ストレスを与えた3種の微細藻類を観察したところ、個体あたりの蛍光強度が減少することを確認できました」(高橋氏)。「この測定法を使えば、微細藻類の培養における個体数計測や状態評価というルーチン作業を簡便に、そして迅速化できます。真核生物である微細藻類は、大腸菌よりも増殖性が低く、それが産業応用へのネックにもなり得ます。今後、増殖性を高める物質の探索も進めたい」と高橋氏はさらなる研究の発展を見据えています。

細胞数をワンステップで迅速、正確にカウント
Countess Ⅱ FL 自動セルカウンター

Countess Ⅱ FL 自動セルカウンター

  • 便利なオートフォーカス
  • タッチスクリーンによる直感的操作
  • 10秒で迅速測定
  • DAPI・GFP・RFPなどの蛍光計測も可能(オプション)

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ライフサイエンス情報誌「NEXT」

ライフサイエンス情報誌「NEXT」当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2018年10月号からの抜粋です。

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