デジタルPCRライブラリーを用いた血中変異TP53 の高感度検出法の開発(岩手医科大学医歯薬総合研究所 西塚哲 氏)-「NEXT」2018年12月号掲載

デジタルPCRライブラリーを用いた血中変異TP53 の高感度検出法の開発(岩手医科大学医歯薬総合研究所 西塚哲 氏)-「NEXT」2018年12月号掲載

QuantStudio 3DデジタルPCRシステムが高感度測定をサポート

西塚哲 氏( 岩手医科大学 医歯薬総合研究所医療開発研究部門 特任教授・写真右)

がん治療後の再発を早期に検知する腫瘍マーカーの探索研究に取り組む、岩手医科大学の西塚哲氏らの研究グループ。「進行がんを手術で切除後、血中を循環する腫瘍由来DNA(ctDNA ; circulatingtumor DNA)から特定の遺伝子変異を高感度に検出し、再発を検知する系を開発中です。リキッドバイオプシーなので、患者さんへの負担も軽くて済みます」と話す西塚氏に、検出用アッセイの開発とQuantStudio 3DデジタルPCRシステムの活用について伺いました。

0.1%に満たない変異を感度よく検出するには?

繰り返し実施でき、少しでも早く再発を検知する方法を研究してきた西塚氏は、ctDNAに着目した理由を次のように説明します。「患者さんごとに変異する遺伝子や変異部位は異なります。摘出したがん組織の遺伝子変異を次世代シーケンサで同定し、術後は患者さん特有の変異を血中のctDNAで検出できれば、再発の兆候をいち早く検知できるはず。ただし、患者さんの身体的な負担は少なくても、長期間行う場合があるので、検出感度と経済性の両立は重要です。次世代シーケンサは全ての変異を一度で解析しますが、変異アリルの確実な検出感度は一般的に数%オーダーまで。これに対してデジタルPCRを使えば、0.1%に満たないアリル頻度も検出可能です。食道がんで実験的に調べたところ、CTによる画像診断でリンパ節転移を検出するよりも180日程早くctDNAから目的の遺伝子変異を検出できました。また、この症例では従来の血清腫瘍マーカーでは再発を検出できませんでした。ただしctDNAは血液を循環中に断片化されて100bp以下になっていることが多いので、断片化しても測定できるアッセイ系が必要となります。私たちは70bp程度の短いDNAでアッセイできる系を構築し、がん組織で同定された遺伝子変異に対する70種類の変異について試したところ、97%は目的の変異を高感度に検出できることを確認しました」。

腫瘍マーカーとしてTP53 遺伝子の有用性

TP53 の病的変異は幅広いがんで観察されています。特に私たちのグループが取り組む消化器がんでは、食道がんでほぼ100%、大腸がんや胃がんの患者さんでは約70%の方にTP53 の変異が見られます。他にも肺がんや卵巣がんなど多くのがんでTP53 のアッセイが使える可能性があります。またがん組織はヘテロ不均一性があり、複数のサブクローンで構成されています。がん発生の初期に起きた遺伝子変異は、サブクローン間に共通して高い頻度を有するので、マーカーとして有用です。私たちが調べた検体では、TP53 の変異はサブクローン間で共通している確率が高く、この点からもマーカーに適していると考えました」と西塚氏。さらに「COSMICデータベースでがんに関連する体細胞変異を調べたところ、TP53 のDNA結合ドメインをコードする部位には1284種類の変異が報告されていました。多くはレアバリアントなので、変異頻度が高い順に42種類のアッセイ系を準備すればTP53 変異の約50%を検出でき、132種類では70%、426種類では90%までを検出できることがわかりました。TP53 に対する限られた数のデジタルPCRライブラリーを整備することで、幅広いがんに対応する経済的で鋭敏な検出法が実現します」と続けます。

測定は、使いやすいQuantStudio3DデジタルPCRシステムで

前述の食道がんの研究を担当した外科学講師の岩谷岳氏(写真左)は、臨床サンプルを含む多くの解析をQuantStudio3DデジタルPCRシステムで行っています。「このシステムは、操作が容易で使いやすく数時間で解析結果が得られるため、臨床研究に適していると思います。最大24サンプルを一度に解析可能ですが、反応は1サンプル1チップごとに行うので、1検体だけ解析を行いたい場合などもチップや試薬の無駄がなく助かっています」とコメントします。岩谷氏と西塚氏は、「このアッセイをさらに充実させ、一刻も早く臨床応用へつなげたい」と研究を進めています。

チップベースのコンパクトなデジタルPCRシステム
QuantStudio 3D デジタル PCR システム

QuantStudio 3D デジタルPCRシステムBiosystems™ QuantStudio™ 3D デジタル PCR システムは、
コンパクトで使いやすいデジタルPCRシステムです。0.1%程度のレアバリアントも高感度に定量します。

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ライフサイエンス情報誌「NEXT」

当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」201※年※月号からの抜粋です。
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